ドラマの影響力

20代の会社勤めをしていた頃、隣の席に、ちょっとトンチンカンな新人さんが入社してきたことがあります。
彼女は言動が派手で目立つため、上司からも何かと目をつけられ、よく叱られていたのですが、ある日、自分を叱った上司について、

「人の気持ちが分からないなんて、最低です!」

と言って、泣いていたことがあります。
 

私は隣の席で彼女のケアをしながら、「おいおい、お前に人の気持ちが分かるんかい!上司も大変だな。」と思いつつ、彼女の口から出てきたその言葉に強烈な違和感を感じました。
人の気持ちなんて他人には分かりっこないし、また、どう考えても彼女の中から出てきた言葉とは思えなかったからです。

違和感を感じたので、記憶に残っていました。
そして数年後、あるドラマの再放送を見ていたら、出てきたんです。全く同じ、その言葉が。
 

その時、ドラマの影響力って大きいんだなって、思いました。
その一言を聞いただけで、彼女の中には『人の気持ちは分からなければならない』という観念がインプットされてしまったわけです。
それ以降、彼女は人の気持ちを無視する人を『悪』と見做すし、人の気持ちを分かれなかったときは、自分を責めるようになるわけです。
 

人は求めるものを受け取る

人が影響を受けるのは、求めているからです。
求めていることが外部から与えられたときは、思いを強くしますし、求めていなければスルーします。

つまり、自分にとって都合の良いことはどんどん採用するので、その思いは偏ったところで強固になるわけです。
左寄りの人が朝日新聞を読んで、『やっぱり』と思いを強くするような感じです。
 

今ではさっぱり見なくなりましたが、私が子供の頃は、時代劇などが流行っていました。
時代劇では、ほぼ勧善懲悪がテーマになっていて、かわいそうで善良な庶民が、見るからに悪そうな悪徳金持ちに虐げられ、最後に金持ちが罰せられるという構造になっています。
それは、ほとんどの視聴者が庶民で、自分たちにとって都合のいいシチュエーションを望んでいるから、視聴率を取るためにそうなっているわけです。

しかし、そういうものを繰り返し見るうちに、かわいそうで貧乏な人は善人で、金持ちや権力者は悪人なんだとインプットされてしまうのです。
 

かわいそうな人は善人、権力者は悪人

観察すると・・・

私も、子供の頃はそう思っていましたが、大人になって自分の目で物事を観察するようになって、むしろ逆だなと思うようになりました。
人って結構あざといし自分勝手だし、かわいそうだから、貧乏だから、のどかな田舎に住んでいるからといって、決してイコール善人ではありません。
そして、自力で稼いでいるお金持ちは、苦労や努力をしているので、結構道理が分かっていて、比較的真っ当な人が多いのです。(もちろん、いずれにしても、例外はあります)

ただ、情と理はかち合うことが多く、前者は情で動きがちだし、後者は理で動きがちで、解り合えないために、敵対するかのように感じるだけのことです。
 

サエコ
カワイイのに超絶イジワル

また、ドラマは何事かが起きないと面白くならないわけで、普通にはあまり起きないシチュエーションが起きるわけですが、そういうことにも感覚が麻痺します。

例えば、ものすごく意地悪なだけの人というのは現実にはほとんどいませんが、ドラマの中には存在するため、実際にそういう人がたくさんいるかのように思ってしまい、他人に対する不信感が増し、他人を敵と感じたりするのです。
 

ドラマの影響が行動に現れ、社会を構成していることも多い

また、私が子供の頃には『赤いシリーズ』といって、不治の病に侵された美少女が主人公のドラマが爆発的に流行し、女性達は不治の病に憧れ、『不幸になりたい』と、無意識に望むようになってしまった人も多いように思います。
 

今はさすがに、勧善懲悪ものも減ってきたし、不幸に憧れるようなシチュエーションはなくなったように思いますが、たまに、「変な観念をインプットしそうだな」と思われるドラマが爆発的に流行ることがあり、それから社会がそっちに流されることもよく感じるので、ドラマの影響力は依然として強いなと思っています。

そうなると、作者一人の個人的な意見が社会の総意のようになってしまうこともありますし、また、物事の解釈は受取手に委ねられているので、作り手の意図とは真逆に都合良く受け取られ、暴走しているように見受けられることもあります。
 

ドラマによってインプットされた変な観念も、それに気付いて掃除しなければ、ずっと持ち続けることになります。
持っている観念に気付けず、無意識で不幸に憧れ続けていれば、幸運が舞い込んできたときにはそれを自ら破壊して、不幸に邁進してしまいます。
また、金持ちは汚いと思っている人が、金持ちになれることはありません

娯楽から知らず知らずのうちに受け取った観念は、かなり影響力が大きいので、折に触れて検証し、棚卸しした方が良いと思うし、ドラマなどを見るときは、その影響力をちょっと意識しておいた方が良いと思うのです。
 

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