私の仕事の中には、心のことを伝えさせていただくこともありますが、その過程で、時に驚かされることがあります。
心のことを学び始めて、少し成長しかけたくらいの人が、突然私をライバル視してくることがあるのです。
そんなに多くはありませんが、一定割合でいます。
そして、
「私はもう、そらさんに並んだ。指導はいらない。」
と言って、私と同じ様な活動を始めようとします。
以前は、まだ早いからと、やめるように促そうとしていましたが、そうなってしまった人は人の言葉を聞かないということを私も学習したので、ここ数年は放置することにしました。
まだ低いレベルのその人の言葉をうっかり聞いてしまう人も、そのことから何かを学ぶ必要があるのだと思うからです。
何故、その人達が、そういう行動に出るのか、ずっと意味が分からずにいたのですが、だんだん見えてきたので、解説をしてみようと思います。
解説 : 光源に近いAさんと光源から遠いCさんの違い
上の図の様に、光源に向かって何人かの人がいたとします。
Cさんからは、AさんとBさんの後頭部しか見えません。
さらに、後頭部には光が当たっていないし、逆光になっているので、よく見えません。
つまり、自分より光源に近い位置にいる人のことは、よく分からず、Cさんから見て、AさんとBさんは、同じように見えます。
ところが、Aさんは、振り返れば、BさんとCさんの顔がよく見えます。
どんな表情をしているのかもよく分かりますし、視力が良ければ、毛穴まで見えるかも知れません。
BさんとCさんは、顔に光が当たっているからです。
つまり、光源に対して、自分より後ろにいる人のことは、よく分かるのです。
初心者の伸びしろに潜むワナ
さて、物事を学ぶ際、何もない状態から学び始めると、最初は大きく伸びます。
学校のテストなどでも、30点しか取れない人が、平均で70点取れるようになるのは、比較的容易なのだと思います。
しかし、いつも80点取る人が、90点取れるようになるのは、難しいのではないでしょうか。
ところが、学び始めたばかりで、大きく伸びた人は、「自分、すごい!」って思います。
そして、誰よりも自信を持つのです。
グラフにするとこんな感じです。
1の場所にいる人には、2の場所にいる人も、10の場所にいる人も、あまり見分けがつきません。(光源の作用。子供の頃って、大人はみんな大人に見えますよね。)
なので、1から2の場所に移行したばかりの時には、初期の急成長と、無知と、実力に見合わない自信により、自分も10の場所にいるかのように感じます。
この、2の段階にいる人を、私は『チンピラ時代』と名付けています。
危ないのです。
格闘技など習い始めて、強くなった気分になり、夜の街を風を切って歩いたりします。
誰彼構わず、喧嘩を売ります。
自分が喧嘩を売った人の中には、プロのボクサーなどもいて、見逃されていることにも気づけません。
ただの、ラッキーや温情で、泳がされているだけなのです。
心の事を学び、この、2の段階にさしかかった人が、『自分は特別と思いたい』とか、『人の上に立ちたい』という気持を強く持っていると、人に教え始めたりするのです。
まだ、2なのに。
1の位置にいる人は、2の位置にいる人の言葉でも、感心して聞いてくれるのだと思います。
それで、さらに、自信を強めます。
チンピラ時代
しかし、心のことで進んでいくには、『自分特別』とか『人の上に』みたいな気持を消化することも大事なことで、人の上に立っていたのでは、そこを超えていけません。
つまり、今いる所から、あまり進めなくなってしまうのです。
そして、自分を超えて行こうとする人が現れたとき、足を引っ張り始めます。
なぜなら、特別な自分が、その人より上にいないといけないから。
今、自信がついて、人に教えたくなっている人は、チンピラ時代にいる可能性が高いので、どうぞ自分はどうだろうと、振り返ってみて下さい。
心のことを、人に伝えられるようになるのは、ほんの数年ではムリなのです。
2016年07月31日